段ボールの荷造りと準備してほしいこと【引越し業者の視点から】

荷造りの程度と準備してほしいこと

引越しの荷造りは段ボール箱を用意することからはじまります。段ボールへの荷造りはどれくらいすればよいか、荷造りの仕方、そのほか準備してほしいことを業者側の視点から述べてみます。

適度なサイズの段ボール箱を用意する

最初に段ボール箱を用意してください。大きすぎる箱は箱の強度が保たれません。大きすぎる箱は重くなりがちで作業員の体への負担が大きくなりがちです。小さすぎる箱は荷崩れしやすいです。ご自身で用意される場合の段ボール箱の大きさは120サイズ(縦、横、高さを併せて120㎝)の箱がちょうどいいです。

段ボール箱を組んで作ってはいけません

段ボール箱を組んで作ってはいけません。底が抜けて中身が破損するリスクがあります。室内なら荷物が落下して床を傷つけてしまうかもしれません。段ボール箱の底が抜けそうなときはラップで補強をしますが少々手間がかかります。

折り目で組んで箱を作ってはいけません

段ボールの組み立てに使うテープの幅は5センチメートル以上

段ボールに使用するのは市販の荷造り用で安価な紙製のテープで十分です。ただし幅が5センチメートル以上のテープを使います。(最も多く見かけるガムテープの幅が5センチメートルです。)5センチメートルより細いテープを使用したすると底が抜けるリスクが高まります。

幅が5センチメートル以上のテープを使う

写真で使われている箱(幅45cm奥行35cm高さ40cm)の場合、25メートル巻きのテープで作れる段ボールの数は約20箱、50メートル巻きで約40箱です。しっかり粘着していればテープがはがれて底が抜ける心配はありませんが不安な時は十字にテープを貼って補強します。

粘着が弱い時は十字にテープを貼る

入るものは全て段ボール箱に入れてください

箱からはみ出さない程度で荷物を詰めていきます。炊飯器、オーブントースター、ビデオデッキ、電話機なども箱に入れば荷造りしてください。

特性が同じものどうし荷造り

引越しの時の荷造りは最低でも下の4種類は別々にしてください。そして中身がわかるように書いておいてくださると助かります。

  • 本や書類の類
  • 食器や割れやすい物の類
  • 醤油や油など液だれする可能性のあるものの類
  • 特別に大事な荷物

できるだけ下の箱が潰れないように作業員は重量物を他の荷物よりも下の方に積みます。重量物下にした方が走行中の車体も安定します。

液体の入った箱も他の荷物より下の方に置いていきます。箱の中から液漏れがあったときに被害を最小限に食い止めるためです。壊れやすい物が入っている箱は荷くずれしにくい安全な場所に積み上げてます。特に壊したくない大事なものが入ったものは作業員にお伝えくだされば最も安全な場所に積載します。

冷蔵庫内やタンス内の物も荷造り

少しでも軽くするために引越しの時の冷蔵庫の中身は荷造りをお願いします。面倒だとは思いますがタンスの中も荷造りしてください。輸送中に震動で引き出しがこわれてしまうのを防ぐためです。近距離の引越しでタンス内の荷造りが面倒な場合は業者にご相談ください。適切な判断をしてくれます。

衣装ケース、クリアケース等のプラスチック収納は自重で破損することがあるので本などを入れて重くしてはいけませんが中身が衣類ならばそのままで構いません。書類ケースは貴重品や壊れやすいものが入ってなければ中身はそのままでOKです。

箱の上も閉じてください

荷造りした段ボール箱は中身がこぼれないように必ず上もテープで閉じます。そうすれば書類やリモコン等の小荷物ががなくなるということはありません。荷台から下ろし忘れる荷物もなくなります。テープで閉じられていない箱は運搬の際も持ちにくく作業に支障が出ることがあります。

上もテープで閉じる

箱に入らない荷物の梱包は業者の仕事

冷蔵庫、洗濯機、テレビ、タンスなどの段ボール箱に入らない家具や家電は専用の梱包材古毛布を使って業者側で簡単な梱包をします。

家具家電の取り扱いで気付いたこと

お客様の気づかいで下のことをされているのをよく見ますが必要ありません。(作業をしていてありがたい気持ちになりますが必要ありません。)

  • 電気製品のコードをテープでまとめておく必要はありません。
  • 冷蔵庫等の扉が空かないようにテープでとめる必要はありません。
  • タンスの引き出しがとび出ないようにテープを貼る必要はありません。
  • 洗濯機を取り外しておく必要はありません。
  • メタルラックを分解する必要はありません。
  • カラーボックス等の組立家具を分解しておく必要はありません。
  • コタツの足を外しておいたりする必要はありません。
  • 一般的なベッドなら分解しておく必要はありません。

1時間前は引越しの準備を完了

先に積みたい荷物の荷造りができていない時は作業がストップしてしまいます。予定時刻の60分前には荷造りが完了して引越しの準備が整っていると大変助かります。

作業員は時間に遅れない様にこころがけてます。午後からの作業の場合は約束の時間よりも早くおうかがいすることが少なくありません。(残念ながら、たまに遅れてしまう場合もあります。)直前の作業の進行状況や交通事情等でピッタリと約束の時間におうかがいすることは困難です。また長時間の待機はモチベーションも下がります。

一日の最初の作業だけはお約束の時間におうかがいします。それ以外は時刻が確定し次第お客様に連絡をするようにこころがけています。引っ越し当日の外出は予定時刻の60分前は現場もしくはすぐに戻られる所に待機して準備していてくださると助かります。

灯油は燃焼しきる

タンク式のストーブやファンヒーターに灯油が少しでも残っていると漏れ出してしまうことがあります。灯油が残ったままのストーブやファンヒーターは引越し業者によっては運搬をお断りさせていただくことがあります。

灯油は引越しの時までに燃焼しきるのが基本です。当日までに燃焼しきれない場合はタンクと本体を別にしてお運びすることがありますが漏れを完全に防ぐことはできません。

データのバックアップ

引越しでは形のないパソコン内のデータは保障ができません。バックアップをとっておいてください。

配線作業はお客様自身で

引越しの時はお客様のほうででテレビやパソコンの配線を外しておいてください。荷解き後のテレビやパソコンの配線や設定もお客様の方でお願いいたします。簡単な配線や設定はお手伝いできることがあるかもしれませんが一般的に引越し業者の方でテレビやパソコンの配線や設定をすることは有料のオプションです。

当日の時間設定

引越し業者は下の3つで作業時間を予想しています。

  • 搬出にかかる時間
  • 新居までの移動時間
  • 搬入にかかる時間

アパートの管理会社の立会いのもとで退去手続きがある場合は、まず引越業者にそのことをお知らせください。

ほとんどの場合、荷物の搬出が終わっていないと退去の手続きはできません。搬出にかかる時間をお知らせしますのでアパートの管理会社に立会いの時間を予約してください。経験上ではお客様の希望するお時間にあわせて対応をいただける管理会社は多いです。

電気、ガス、水道の解約の手続きも同様にお願いします。(こちらの手続きは搬出作業中でもOKです。)

同居人様が別の引越し業者にご依頼の場合などは業者どうしがかちあわないよう予定を組んでいただくと助かります。

引越しの時に段ボールに荷造りをするメリット

  • 書類や小荷物の紛失のリスクがなくなります。
  • 強度がある段ボールを使用すると積み上げても箱がつぶれることがなく荷物の破損を防ぐことができます。
  • 大きさがそろっている箱は荷台への積載で荷崩れしにくくなります。
  • 階段を使って作業する場合は一度に2~3箱まとめて運べ作業が早いです。
  • エレベーターがある建物では高く台車に積み上げて効率よく作業ができます。
  • 引越し先では場所をとらないで荷物の仮置きができます。
  • 引越し先では必要なものが入った箱から開梱すれば時間に縛られず落ち着いて荷物の整理ができます。